2008/12/02(火)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081202-00000027-san-l03【特報 追う】青森・岩手タラ紛争(下)火ダネはさらに北の漁場
■「岩手が越境操業」感情こじれ法廷対決 “泥仕合”の様相を呈するなべ漁場の奪い合い。一方で、双方の関係者は「どちらも話し合いを望んでいたのだが…」とも漏らす。何が双方を決定的な対立に追い込んだのか。本当の火ダネは、なべ漁場よりさらに北にあった。(荒船清太) 「なべ漁場」より、さらに北側の青森県沖。グレーゾーンを外れ、明らかに青森県の海域とされる場所には、もっとよい漁場が多数あるとされる。 「時にはなべの3倍くらいとれることがある」。原告の長坂慶三さん(67)はそう話す。 長坂さんによると、青森県側が取り締まりを強化し始める直前、完全な青森県側の海域で操業していた岩手県の漁船の底はえ縄と、青森県の船のトロール網が引っ掛かりそうになるトラブルが発生。しかも岩手県側の漁船は「普通なら後ろめたくて下手に出るのに、青森の船に対し、ケンカ腰で対応した」(長坂さん)という。 この件が取り締まり強化のひとつのきっかけになった。 青森県の取り締まりを担当する県漁業管理グループの高林信雄グループリーダーは「もめ事のある場所のパトロールを強化するのは一般的にいって自然なこと」と強調する。 パトロールする場所がさらに南の「なべ漁場」まで広がるのに時間は掛からなかった。 指導が始まった17、18年以後も、両県の漁業者は話し合いの場を設けようとしてきた。対立を決定的にした契機は、その話し合いの中で訪れた。 19年の初夏。両県の漁業者が問題を話し合うために集まった席上、青森県側が、ある写真を岩手県側の漁業者に突き付けた。写っていたのは、「なべ漁場」のはるか北、明らかに青森県の海域と認められる場所で岩手県側の船が操業している姿だった。 青森県側のスタンスは「北で操業している事実がある以上、会議にも応じられない」。結局、岩手県側はなべ漁場もふくむ海域での底はえ縄の自粛を余儀なくされた。 次の会合。自粛の“実績”を強調する岩手県側。青森県側の回答は「2カ月の自粛じゃ短すぎる」だった。 漁期の10月はすぐ目前に迫っていた。「引っ込まずに操業するしかない」。岩手県側は交渉を断念した。 法廷での争点は、青森県東部海区漁業調整委員会の指示に基づいて青森県知事が出した、なべ漁場での操業中止を求める命令の適法性だ。 原告側は、「なべ漁場」は同委員会の権限行使の管轄外▽海域に争いがある以上、両県の協議などが必要▽「なべ漁場」が規制海域に含まれるかは指示に明示されていない−などと主張している。 青森県側の主張は現在までに明らかになっていないが、双方が真っ向から対立する構図が予想される。 果たして、この種の争いに解決のための処方箋(しょほうせん)はあるのだろうか。 水産庁遠洋課の高屋繁樹課長補佐は「漁業法の制定過程に注目すべき」と指摘する。漁業法は、明治時代に調べ上げた各地の慣習をもとに制定した法律で、江戸時代からの慣習がもとになっている。 その原則は「磯は地付き、沖は入り会い」。つまり、ウニなど沿岸で捕れる資源については地元漁師に漁業権などの優先権を与える一方、沖に出れば自由操業、というものだ。 「沖はそもそも厳格な境界線を引くのが難しい」と高屋課長補佐。解決の秘策は漁法ごと、魚種ごとに境界線や時間帯、順番を使い分ける“柔軟方式”にあるというのだが…。 実は岩手県は、青森県の他、宮城県とも海境をめぐり、争いを続けている。宮城海区漁業調整委員会事務局によると、その方式はまさに“柔軟方式”。ただ、協議は開始から15年以上が過ぎた現在も、まとまってはいないという。 いずれにしても、燃料高騰など漁業を取り巻く環境が厳しくなる中、漁師たちの職場をかけた争いは容易に決着しそうにない。 ◇ ■沿岸からは冷ややかな目… 青森・岩手両県の県境の沖合。ここには「堺」と掘られた石が波に浮かんでは消えている。昭和26年に定められた両県の合意書が言及している県境の目印の「新太鼓石」だ。 石の周りはサーファーのメッカでもある。波に乗るため、20代で青森県板柳町から岩手県洋野町種市に引っ越してきた佐々木清治さん(45)はいう。「この場所は両県が270度のパノラマで見渡せる。眺めはサイコーキレイだよ」。波に乗って県境を自在に行き来する佐々木さんの感想はこうだ。「県境?おれたちには関係ねえよ。ラブ&ピース!」 <Yahooより引用> |
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